ペレットストーブの課題から。
当社が開発しているペレットストーブには、最優先とすべきではないほどに極めて数の少ないクレームでありながら、我々としては喉に刺さった魚の小骨のように、常に解決を望むようなタイプの課題がありました。それが、風速などが極めて強いタイミングで起こる逆火現象です。我々のペレットストーブは、木質バイオマスエネルギーである木質ペレットを燃焼させるため、どうしても一酸化炭素が発生します。そのため、設置するときに壁に穴を開けて外部に排気する必要があります。しかし、外の状況で風速40m以上といった猛烈な風が吹いたりしたとき、その風が排気口から逆流し、燃焼している炎を消すことがあるのです。最悪の場合は炎が燃料室にあるペレットを燻らせるケースがありました。これらは2万分の1程度の確率でしか起きないことが確認されていることや、そうした風速がまれにしか発生しないことから、製品として大きな問題といったレベルではないのですが、文字通りの万が一があることは避けたい。当社としては、この改善に常に頭を悩ませてきました。

流体シミュレーションという挑戦。
我々は、さまざまな外部煙突や内部構造の模索を続けていましたが、どうにも根本的な解決にはいたりません。そんな時、燕市のとある企業がデータセンターを開設。先進の流体シミュレーションや素材構造解析といったものにフォーカスしたソリューションを提供し始めました。ちょうど、私たちもその企業を知っていたことから、彼らのデータセンターにおけるパイロットプロジェクトとして、協働しながらの課題解決に乗り出しました。彼らには、帝京大学で教鞭をとっている流体シミュレーションのプロである教授の協力もありました。こうして始まったプロジェクトによって、私たちは全く新しい解決への糸口と、これまでよりもはるかに本質的な開発への道筋をつけることができつつあります。現在もこのプロジェクトは進行中です。新しい発表は、プレスリリースなどで開示してまいります。